スシゴコロ ~寿司とSUSHI~

寿司をもっと世界に広めたいと願う料理人の思うこと

カリフォルニアロールとナポリタン

 

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カリフォルニアロールは寿司ではない」とよく見聞きします。シャリを外側にして巻いている時点で「寿司じゃありませんよ」ということなんだと思います。その心情はよく分かります。では「寿司」ではなく、「SUSHI」と考えてみてはどうでしょうか。

 

「寿司」は握りであったり、鉄火巻や押し寿司、ちらしやお稲荷さん。「SUSHI」はカリフォルニアロールなどのロールに始まって、最近ではブリトーやドーナツの形に模したものまで出てきています。こうなると益々「寿司」から遠ざかっていきますね。「SUSHI」は文字通り独自の進化を遂げたと言って良いでしょう。

 

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そこで思うのが日本で創作されたスパゲッティ・ナポリタン。日本で生まれ、今も多くの人々に愛される喫茶店の王道メニュー。 ではイタリアの人たちはそんなナポリタンをどう思っているか。すし学校に来たイタリア出身の生徒さんたち数名に聞いてみましたが、やはり彼らの食する「PASTA」ではないとの答えでした。日本で独自に進化を遂げた「パスタ」ということでしょう。

 

おいしいかおいしくないかも重要ですが、食を語る上でわたしが個人的に大切にしたいと思うことは、カリフォルニアロールにもナポリタンにしても、その創作に携わった人々の食に対する「思い」を感じられるかどうかです。先人たちが苦労して仕入れたであろう数々の食材を「もっともっとおいしくしよう!」と、知恵を絞りだして完成させたその意気込みやらこだわりやらを感じられるかどうかです。

 

わたしだったらアボカドをお寿司にしてみよう、シャリを外側にして巻いてみようとはなかなか思い当たりません。同様に、戦後間もない頃にスパゲッティをケチャップで炒めてみようとも考えつかなかったでしょう。そんな苦労と努力とひらめきがあってこそ、今の世になってもそれぞれがお寿司屋さんや喫茶店の人気メニューになっているのだと思います。わたしはそんなカリフォルニアロールナポリタンが大好きです。