スシゴコロ ~寿司とSUSHI~

寿司をもっと世界に広めたいと願う料理人の思うこと

「インバウンド」っていったい・・・

先日、日本政府観光局(JNTO)が発表した1月の訪日外国人客数(推計値)ですが、前年同月比7.5%増の268万9400人、1月としての過去最高を更新したそうです。春節旧正月)前で中国や台湾からの観光客の伸びが目立ったようです。

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 そこで、ここ数年良く耳にする「インバウンド」という言葉、そもそもの意味は理解していますが、その使われ方がなんかこう・・・どうにもしっくりこないんです。「インバウンド」っていう言葉の響きだけが先走って我々日本人だけが理解する和製英語になっている感がとてもあります。

 

「イージー・ミス」みたいな、間違った表現だけど言いたいこと分かるでしょ?だからついつい使っちゃう、みたいなモヤモヤっとする言葉です。はい、やはり同じことを思った方がいました!思った通り、外国人には伝わらない独自の表現という結論です。

 https://www.smart-menu.jp/news/the-term-inbound-in-japan/

 

 

モヤモヤが無事解決・・・となれば良いのですが、実はこの「インバウンド」という言葉、わたしの仕事的にはこれから先もずっーと使わなければいけないであろうやっかいな単語です。

 

わたくし、日本にやってくる外国人の皆様に寿司・和食をご紹介する「日本料理インストラクター」として様々な活動をしております。お会いする外国人の皆様との会話の中で、この「インバウンド」という言葉を何度か使ってみましたが、往々にして彼らの顔には「?」が浮かんでしまいます。

 

日本ではこの「インバウンド」に関わる事業のことを「インバウンド・ビジネス」と銘打っておりますが、この「インバウンド・ビジネス」も外国人の方々にはまた新たな「?」です。一体なぜそうなってしまうのか考えてみました。

 

 

そもそも、この「インバウンド」(英語:inbound)という言葉の原義は「外から中に入る、内向きの」で、対義語が「アウトバウンド」(英語:outbound)です。空港なんかにいきますと、海外に出ていく国際線が「アウトバウンド」、日本に戻ってくる帰国便が「インバウンド」となります。そう、帰国便が「インバウンド」なのです。

 

ここでわたしが重要に思うのが、この言葉の主語が何なのか?です。本来の意味は外から中に入ってくるです。外は誰の外なのか?ということです。外は内にいる人にとっての外ですから、日本にいる人が外に出て、帰ってくる行動が本来の「インバウンド」の意味になるはずなのです。

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しかしながら、いま日本で使われている「インバウンド」の意味、その対象となる主語は外国人観光客です。外からやってくるという意味合いは間違っていませんが、彼らはもともと外にいる人たちです。彼らは国際線「アウトバンド」の飛行機に乗って日本にやってきます。そんな彼らにとって「インバウンド」とは、日本を出て母国に帰る飛行機やその行動を指します。

 

 

では日本人が「インバウンド」の主語になった場合はどうでしょうか?先ほど帰国便という表現をしましたが、日本からどこかの国へ出かけ(アウトバンド)、日本に帰ってくる行動(インバウンド)となります。外国人が主語になった場合、日本人が主語となった場合のどちらでも、今世間で言われるところの「訪日外国人観光客」=「インバウンド」という図式になりません。

 

ここからはわたしの推測ですが、日本や日本人から見て訪日外国人観光客が「外から内に入ってくる」、その行動や方向性だけを表現して「インバウンド」という言葉に間違ってたどり着いてしまったのではないでしょうか。

 

和製英語もカタカナ英語も英語に触れる機会として素晴らしいツールですので全てを否定するつもりはありません。多分、企業やマスコミがあまり馴染みのない言葉をそれっぽく、聞いた人々にはカッコ良く聞こえたので広まっていったのでしょう。

 

2015年には流行語大賞にもノミネートされましたので、世間的には十分に市民権を得たと考えるべきです。ただ、使い初めのころにマスコミやどこかの企業が1回でも英語がネイティブの人にチェックを入れてもらう配慮や慎重さがあっても良かったのかな?と、ちょっとだけ残念に思ったりもしています。

 

 

2020年の東京オリンピックパラリンピック開催がそんな「インバウンド」のピークになると予想されます。皆で協力して和製英語やカタカナ英語の増殖を防ぎ、良い「OMOTENASHI」ができると良いですね。

 

もしくは、この「INBOUND」に、かつての「WALKMAN」のようなガッチガチの和製英語を、全世界にゴリゴリと広める力が存在すればまた違った見方が出てきそうです。本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました🍣

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